2022年7月29日送分。
「IMFが回復シナリオの破綻を指摘。国際社会は恐慌の回避に舵を切れるのか」
「国際通貨制度の番人」と呼ばれるIMF(国際通貨基金)が火曜日、今年の世界経済の見通しを下方修正して実質成長率が3.2%にとどまるだろうと発表しました。
IMFが成長見通しを下方修正するのは、今年に入って、1月、4月に続き、3回連続のことです。この見通しによれば、コロナ危機からの回復期待に沸き、6.1%の高成長を遂げた去年と比べ、世界経済は非常に大幅な減速になります。
さらに、来年=2023年は2.9%と、もう一段、スローダウンして好況・不況の分かれ目とされる3%を割り込むと予想しているのです。
ここで見逃せないのは、新型コロナウイルス危機をリーマンショックのような経済危機にはしないという暗黙の了解のもと国際社会が進めてきた経済の回復シナリオが脆くも崩壊しつつあることを意味している点でしょう。
背景には、ロシア軍のウクライナ侵攻が加速させる形になった歴史的なインフレ、それに対応するためのアメリカやヨーロッパの利上げ、さらには中国がロックダウンを繰り返していることなどがありますが、いずれにせよ、期待されていた回復シナリオがとん挫し、逆に急速に停滞感を強めているわけです。当然ですが、日本もこうした影響を免れません。
そして、何より気掛かりなのは、こういう危機の入り口で不可欠な国際的な政策協調を推進する土壌が今の国際社会にはまったくないということです。今日は、最新の世界経済見通しと、その深刻さ、国際社会の危うい対処能力について考えてみたいと思います。
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