高い防潮堤で海が隠れてしまう町ではなく「海がみえるまち」を掲げ、町の人々が主体となってほかの被災地とは一線を画したまちづくりを選択した宮城県女川町。その復興まちづくりに用いられた手法が「区画整理」です。区画整理とは簡単に言えば、住民たちがみんなで土地の一部を出し合い、道路や公園など公共の場所を作り新しいまちづくりを行う手法。これを実行するには、その町に暮らしてきた人たち、つまり土地を所有する人たちの「合意形成」が重要なカギとなります。
なぜ、女川ではこの合意形成がうまくいったのでしょうか。女川の復興計画をあしかけ10年にわたり見届けてきた土屋さんの考えを伺いました。
未来授業4時間目。テーマは「海の上の、運命共同体」
◆土屋信行(つちやのぶゆき)
工学博士。公益財団法人リバーフロント研究所技術審議役、一般社団法人全日本土地区画整理士会理事、日本河川・流域再生ネットワーク代表理事、水の安全保障戦略機構・水害BCP推進チーム事務局長、ものつくり大学非常勤講師。
1975年東京都入都、道路、橋梁、下水道、まちづくり、河川事業に従事。この間環状7 、 8号線の設計・建設、下水道処理場・ポンプ場の設計・建設、多摩ニュータウン、つくばエクスプレス六丁目土地区画整理事業、秋葉原および汐留再開発事業、江戸川区の「ゼロメートル地帯」安全高台化土地区画整理事業のまちづくりに携わる。ゼロメートル地帯の洪水での安全を図るため2008年に江戸川区土木部長として海抜ゼロメートル世界都市サミットを開催し幅広く災害対策に取り組んでいる。東日本大震災の復興では学識経験者委員として宮城県女川町のまちづくりに取り組んだ。新著に「災害列島の作法」がある。
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