「ブルー きみは大丈夫」「ディア・ファミリー」「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」「罪深き少年たち」
■サムネ画像は:映画「ブルー きみは大丈夫」ⓒ2024 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
■産経新聞の映画担当記者が試写会で見た4作品をレビューします。
■「ブルー きみは大丈夫」
もこもこした紫色のキャラクターのデザインが比較的平凡で、期待していなかったのだが、感動に包まれて試写会場を出た。原題は「空想の友だち」を意味する「IF」。テンポ感と上質なユーモア。ティナ・ターナーやハチャトリアンの楽曲など音楽の使い方もうまい。家族向けだが、ビーの祖母のようにかつての子供たちにこそ勧めたい。
■「ディア・ファミリー」
余命宣告をされた娘を救おうと無謀にも人工心臓の開発に取り組み、日本人の体格に合った初の国産バルーンカテーテルを生み出した町工場の社長の実話に基づいた人間ドラマ。主人公の大泉洋が適役。歌に司会に大忙しの人気者だが、主人公の決して諦めない姿勢は、どこか大泉自身に通じているように見える。家族愛と開発の奮戦物語が軸で、〝病気もの〟が苦手だという人にもお勧め。
■「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」
1970年、米ボストン近郊の全寮制のバートン校が舞台。クリスマス休暇で大半が帰郷する中、生徒からも同僚からも嫌われている考古学の教師、ハナムは、家に帰れない生徒4人の〝子守役〟を押し付けられる。その一人、アンガスは複雑な家庭環境のせいか反抗的。寮の料理長、メアリーは一人息子をベトナムで亡くしたばかり。それぞれが抱える孤独を体現した3人の名演が光る。
■「罪深き少年たち」
韓国のスーパーで強盗殺人事件が発生し、少年3人が逮捕される。だが、刑事のファン・ジュンチョルは「真犯人は別にいる」という情報を入手。強引な取り調べによる冤罪という確信を得た彼は、少年らの無実を証明しようとするが…。真犯人が自白したのに、警察の威信のために罪を着せられた少年たち。一度は敗北を受け入れた刑事と彼らが、長い後悔と苦悩の末、間違いを正そうと立ち上がる姿を熱量いっぱいに描き出した。
■ナビゲーター 德重翠(木村きょうや声優・ナレータープロ養成塾)
■「シネマプレビュー」では、産経新聞文化部の映画担当記者が試写を見た感想を率直にレビューします。メジャーな作品から、上映館数の少ない玄人好みの作品まで、幅広くセレクト。単館上映の作品は観るのをためらいがちですが、記者による踏み込んだ感想で「観に行きたくなる」こと必至。新聞社としての信頼と自信を持って魅力をお伝えします。
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