尊敬する各界の指導者の皆様。皆様は、今日の世相を見渡すとき、また、若者たちに対するとき、何を感じるでしょうか。希望に満ちた明るい未来ばかりを感じますか。日ごとに増加する若者の犯罪率、暴力と麻薬乱用、不倫と退廃、十代の未婚の母問題と価値観の混乱など、未来社会を否定的に予測し、苦悩することが多いはずです。
なぜ若者たちが、このようになったのでしょうか。より優れた学校教育や制度と環境の改善も、部分的な解決策とはなるでしょう。しかし、根本の根はそのようなところにはありません。真の愛の最初の家庭を失った人類が、歴史の結実期を迎える中で、家庭が安定性を失って崩壊しているところに、その原因があるのです。
家庭の崩壊現象は、一つしかない愛の学校が破損したも同然なので、その否定的波及効果は、途方もなく大きいものです。社会的に様々な不安要因となることはもちろん、国家的、世界的に多くの問題を併発させます。
特に青少年には、情緒的不安を与え、人生の座標を変えさせ、脱線と放縦の生活への直接的な原因にもなります。結婚忌避の風潮や離婚率の増加など、家庭基盤が急速に崩壊していく現実の問題は、あすを憂慮する指導者が先駆けて、必ず解決しなければならない課題であると言えるでしょう。
神様の第一祝福と第二祝福を失った人類は、神聖で永遠な夫婦の愛を完成するという、真の愛の個体完成の重要性を知ることができませんでした。ほとんどの青少年たちは、婚前の純潔と真の愛の人格に対する徹底した教育を受けることができていません。喜びと幸福と理想の根本である真の愛の価値を知らないのです。夫婦間の信義と貞節が軽んじられ、結婚の神聖さが無視される風潮の中で、人類社会は途方もない悲劇と災いを内的に蓄積してきているのです。
また、男女間の愛が、刹那的で、肉欲的で、享楽的な方向にばかり走る、いわゆるフリーセックスと世俗文化の中で、真の愛は立つ場がなくなってしまいました。急速に拡大するエイズと性感染症(STD)は、人類の生存自体を脅かしています。エイズからの安全地帯はないとも言われています。
今、世界を震撼させているテロリズムよりも恐るべき脅威が、安全地帯もなく、私たち全員の間近に迫っているというのです。一度、感染すれば、幸福も理想も生命もすべて放棄しなければならないという、この途方もない地球星の災いを解決できずに、どうして私たちがこの時代の指導者だと言うことができるでしょうか。
また、「万物を主管せよ」という神様の第三祝福の前でも、人間は真の愛の管理責任を果たすことができずにいます。もし、自然が人間の虐待に対して反抗し、人間を拒否するとすれば、どのようになるでしょうか。既にそのような兆候が現れているではありませんか。生態系と自然環境が、無言のうちに人間の傲慢さに対して懲罰を与える前に、人間は、真の愛の人格を回復し、万物の前に現れなければなりません。
尊敬する各界の指導者の皆様。今日の問題をもう少し根源的に掘り下げてみるために、神様の創造理想を中心として、真の「私」と「私たち」の関係について考えてみようと思います。
人間は堕落によって、真の「私」の位置を探し出すことができなかったので、神様も「私たち」という言葉を使用してみることができませんでした。創造理想的意識圏内に立つことのできる神様御白身が「私のもの」、「私の子女」と言える関係を結ぶことができなかったのです。したがって、私たちがもっている「私」という概念は、神様の本来の創造理想とは何の関係もないものなので、私たちは自らを完全否定しなければなりません。
神様は、御自身が安心して「私たち」と呼ぶことのできる真の男性と真の女性、すなわち神様の真の息子、娘を探し求めて復帰摂理をしてこられました。言い換えると、神様は、愛の主体、生命の主体、血統の主体であられるので、永遠に一体不可分の基準に立っている真の息子、娘を探し求めてこられたのです。ですから、私たちは、まず心と体の統一によって個人完成し、その基盤の上で神様と父子間の縦的関係を樹立しなければなりません。
しかし、縦的な関係だけでは「私たち」という言葉は成立しません。そこには必ず横的な関係が共に調和しなければなりません。したがって、男性と女性が、真の祝福結婚を通して真の夫婦関係を結び、真の子女を生んで真の家庭を立て、三代を中心として四位基台を完成してこそ、天は家庭単位で「私たち」と呼ぶことができるようになるのです。
それでは、私たちは、どのようにすればそのような位置まで進むことができるのでしょうか。神様は、心と体が完全に一つになった立場で万物を創造されました。それは、絶対愛と絶対信仰を中心とした絶対投入でした。
そこには、御自身の利益や事情を考える余裕などありません。完全に一〇〇パーセント与えては、また与える、ために生きる愛の始原が正にここにあったのです。
私たちの家庭においても同様です。神様の立場にいる父母は、真の愛を中心とする「正分合」の論理から見れば、「正」の立場で完全投入、絶対投入することにより、子女を生み、養育して、縦的な「私たち」の軸を立てなければなりません。
そして、横的には、夫婦が「分」の立場で、真の愛を中心として完全一体になって横的な軸を立てるようになれば、子女たちは「合」の立場で、自動的に縦横の軸に合わせて一つになりながら、兄弟間には前後関係という、また別の軸が立てられるようになり、その時に初めて縦横と前後で完全な「私たち」の概念が実体的に展開するのです。
ですから、家庭が大切なのです。家庭こそ、天が私たちに与えてくださった最も貴い贈り物です。家庭という環境がないとすれば、私たちは、いかにしてこのような絶対的基準の「私」を探し出し、縦横や前後で完全な「私たち」というものを考えてみることができるでしょうか。家庭こそが、愛と平和と幸福の揺籃なのです。
それでは、真の「私」は、どこから探し出すことができるでしょうか。ために生きる真の愛を実践する生活においてこそ、それは可能なのです。自分を完全に否定し、家庭のために生き、国のために生き、世界人類のために、そして神様のために生きるようになれば、真の「私」は自動的に探し出されるのです。
私たちは自らを前面に立て、自分をむやみに主張してはいけません。非常に長い歴史の裏街道で、真の「私」を主張する子女を探し求めて、恨に絡み合った復帰摂理をしてこられた神様の心情を少しでも知るならば、むやみに自分を主張できないはずです。私たちは、寝ても覚めても理想家庭の完成のために生きなければなりません。神様の創造本然の世界である平和世界、神様が千年、万年待ち続けてこられた理想家庭さえ立てたとすれば、それが正に地上天国の出発地となるでしょう。そこにおいて、かわいそうな神様の恨を解くことができるようになるのです。
皆様、太陽を見つめても恥ずかしくなく、海の水を見てもやましくなく、万物の前でも一点の隠し事のない真の自分を取り戻し、神様が「私たち」と呼んでくださる家庭を立てましょう。
そのようにして、神様と人間の間に真の父母と子女の関係が成立しなければなりません。そして、人類の真の父母であり、愛と生命と血統の根源であられる神様は、人類の先祖であり、ひいては主管者であり、真の王であられます。
エデンの園における人類始祖の堕落により、神様は、そのすべての位置を失ってしまったのです。復帰摂理の進展に従って、私は海洋還元、陸地還元、天宙還元とともに、第四次アダム心情圏の還元を宣布し、その土台の上で、失われた神様の王権を取り戻してさしあげる歴史的な「神様王権即位式」を、去る一月十三日、韓国において挙行しました。
本来、アダムは、人類の始祖であり、家庭の根本です。本来は、家庭の王が、将来、国家の王の位置を受け継がなければならず、さらには天宙の王の位置を受け継がなければなりません。そうしてこそ本然の理想的天国圏が連結されるのです。今や蕩減の時代が終わり、入籍を通して本然の定着時代に入っていくことによって、国の王が連結され、さらには世界の王が連結されるのです。
それで、「世界平和統一家庭連合」では、昨年の「子女の日」に、天地父母が家庭の王として君臨するようになったことを宣布し、入籍された家庭から、初めて天の父母を王として侍っていくことができる時代に入ることを宣布しました。したがって、すべての祝福家庭は、天地の王に侍る標準的な伝統を立てなければならない家庭であることを自認しなければなりません。それで、教会時代は終わり、家庭連合の時代が開かれるのです。
宇宙全体が、一つの核を中心とした連体として連結しているのと同じように、皆様の家庭がそのような核の位置に立って万物を愛し、神様が愛で造られて存在する万物を食べて愛する、そのような主人の位置を備えなければなりません。
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