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日付:一九八一年五月十六日
場所:韓国、ソウル、ロッテ•ホテル
行事:著名人招請講演会
大韓民国の重鎮である皆様をこの場にお迎えし、きょう知識人たちとの集いをもてるようになったことを、限りなく光栄に思う次第です。この場は、「今日の知識人と宗教」という主題をもって集まりましたので、私の所見の一端をお話ししてみようと思います。
人間は次元の高い価値を追求する皆様は、統一教会の主張に関心があるのではないでしょうか。団体ならば団体の主張があり、国家ならば国家も、国策を中心としてそれ相当の主張があるものです。その主張に従って、その指揮下にあるすべての行政あるいは組織機関が動き、その目的とすることに向かって進んでいくのと同様に、統一教会にもその主張があります。
周知のように、人の欲望は極めて大きいものです。個人においては個人の欲望、家庭においては家庭の欲望、社会ならば社会、国家ならば国家、世界ならば世界なりの欲望があります。このように見るとき、人間がその欲望を通して何を得るのかを考えてみれば、その欲望を通して、より次元の高い目的や価値あるものを追求するということは、言うまでもありません。この宇宙、さらには宗教的に見るとき、見えない新しい世界があるとすれば、「私」はどこを終着点として進展するのかということが問題です。これが今まで、哲学あるいは人生問題を扱うすべての宗教が重要視する点です。人生はどこに向かっていくのでしょうか。人はそれぞれ異なる欲望をもち、自分なりに歩んでいます。そして、その欲望が指向する最高の目的とは、最高の価値でしょう。
皆様は自分の専門分野において、世界で一番の学者を標準として動くでしょう。これと同様に、この宇宙の中で、私たちの目的となる主体である偉大なお方がいらっしゃるとすれば、そのお方を標準としてすべてのものは動いていくでしょう。それで、人間世界においては、聖人という問題、さらには宗教的に見れば、神様という問題が登場するようになります。このように見るとき、私たちのあらゆる欲望は、神様というお方を目的とし、そこに終着点を置いていくものだという結論が出てきます。
神様が必要とされるものは何かもし私たちが神様を発見し、神様を探し出したとき、神様が必要とするものとは何なのか、尋ねてみたいと思わないでしょうか。神様として望むこととは何でしょうか。神様が望むことがあるとすれば、私たちは神様を発見したその時から、神様が望むことに向かって前進せざるを得ないでしょう。
神様が望む欲望とは何でしょうか。その神様の望むものは、今日、私たちが生きている人間世界において語る物質でもなく、お金でもありません。ここに列席した高名な学者の先生方が追求する知識でもありません。神様は全知全能のお方なので、知識ではありません。権力でもありません。そのお方の欲望は、人間にとっても第二次的な立場で、さらに追求すべき重大な問題になるでしょう。このように総合して結論づけるとき、その結論とは何でしょうか。生命力ですか。それも違います。正に「愛」という一言に集約されるという結論を下さざるを得ません。
全知全能のお方に、何のために愛が必要なのでしょうか。なぜ神様に愛が必要なのかという話です。愛は個体自体で成立するものではなく、必ず相対的関係で成立するものだからです。愛というものが、一つの個体から自発的に出発できますか。いくら自分が愛をもっているとしても、自分自体で自発的に出発できないというのです。必ず相手が必要です。相手を通して愛を追求するようになっています。
それでは、神様は何を目的として創造したのでしょうか。神様が独断的な面において、一般的な目的の追求のために、この被造世界を造ったのでしょうか。それは喜びのためです。神様も喜ぶために造られたのです。喜び楽しむためです。何を中心として喜び楽しまれるのでしょうか。お金でもありません。この宇宙の万象をもって人間が喜ぶ、そのようなものを中心として喜ばれるためではありません。愛を中心として喜ばれるために万物を造られたのです。このすべての万物を、そのような目的のもとに造ったというのです。
それでは、万物が願う最高の願いとは何であり、最高の終着点とは何でしょうか。神様が愛を通して喜ぶことを目的として万物を造ったとすれば、被造世界の万物は、愛を通して連結される関係を抜け出すことはできません。あらゆる万物は、神様の真の愛を受けるために相対的関係をもって授受作用するのです。
力が先か、作用が先か今日、多くの科学者たちは、この宇宙について「宇宙は力によってできた」という結論を下しています。力が存在することによって宇宙が形成されたというのです。それでは、力があって宇宙が形成されたのでしょうか。力が存在する前に何かがなければなりません。力だけではできません。力が存在する前に必ず作用という過程を経なければならないのです。心臓の作用が終われば、私たちのすべての力の原動力となる生命も終わります。皆様は、自動車に乗られると思いますが、自動車のエンジン作用が止まれば、走る力が、すべてなくなるのと同じです。ですから、力が先か、作用が先かという根本問題に至るようになります。力が先ですか、作用が先ですか。作用が先です。このように見るときに、作用のないところには力が存在できないのです。
私たちのすべての細胞構造から人体を見るとき、あらゆるものが作用圏内を総合して力を維持しています。いくら強い力があるとしても、その力自体が突発的に顕現することはできないと見るのです。細胞作用を通してのみ力が出てくるのであって、そのまま大きな力が出てくることはできません。必ずここには、力が存在する前に作用が必要だというのです。力が存在する前に作用がなければなりません。その作用は一人でできません。作用する要件を形成するためには、主体と対象の関係を絶対に離れることはできません。皆様はこの点をはっきりと知らなければならないというのです。
それでは、宇宙形成はどこからなされるのでしょうか。力からではありません。主体と対象の観念があって、その主体と対象の作用から形成されるのです。それから力の活動方向が変わります。その力は、こちらに作用すればこちらに行き、あちらに作用すればあちらに行くのであり、総合的に作用すれば一つの方向に行くでしょう。
このすべての作用を統一できる作用とは何なのかが問題です。例えば、私たちの腕がするような作用ですか。私たちの心臓が作動するような作用ですか。血管作用ですか。神経作用ですか。この全体を総合できる一つの方向性を定め、主体的力の主流圏を占めるものとは何かというのです。このようなすべての問題は、近世において多大な関心事でした。知識人たちには大きな問題とならざるを得ません。
この主流的で統合的な作用として、ある大きな目的を連結させるのは自己中心ではありません。接すれば接するほど、ぶつかればぶつかるほど、喜びが増し、うれしくなる、主流的な力の総合的な作用形態があります。それが何かというと、真の愛です。真の愛という作用には、すべてが和合するようになっています。
その理由は、神様が喜ばれるために愛を追求するというとき、その愛は私たちの第一の欲望と同じ立場に立つからです。すべての被造世界は相対のために造られたので、被造世界は真の愛を主体として拍子を合わせざるを得ない存在になっています。
ですから、近所に愛のある裕福な家があるとすれば、近所の犬たちもその家に行って大便をするというのです。そこを通る犬もそこでとどまろうとしまた飛んていくすずめもその垣根に来てとどまろうとします。すずめがチュンチュン鳴くその家は、大抵愛のある裕福な家です。子犬もそうであり、小さな昆虫もこのような愛の理念に拍子を合わせ、宇宙の大作用圏の方向性に一致する作用形態をもって存在していると見るのです。これは人間自体においてもそうです。ですから、愛の道に従っていくためには、どうしなければなりませんか。この作用も、必ず主体と対象の関係によるのです。
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