私は「科学の統一に関する国際会議」が出発する以前から、善と希望に満ちた未来社会を築くに当たって、学者たちが決定的な役割を果たすべきであるという信念をもっていました。過去十数年間の「科学の統一に関する国際会議」に対する私の支援と情熱は、世界の諸問題を解決するための学者の方々の潜在力に対する尊敬と期待から生まれ出たものです。そのような潜在力が、「科学の統一に関する国際会議」を通して啓発、結集され、責任感のある学者たちが新文化革命の実現に積極的に貢献されることを願うのです。
「科学の統一に関する国際会議」は、今回で十四回目を迎えました。統一教会では、七数は三数とともに完成の意味をもつ重要な数です。そして、十四数は七数の二倍です。これまで「科学の統一に関する国際会議」は、学問(科学)の研究を、「絶対価値の発見とその実現」と結びつけることに没頭してきました。さらに「科学の統一に関する国際会議」は、知識の統合、すなわち、学問の各分野間の協同および統合的アプローチのためにも力を注いできました。絶対価値の基準は、すなわち絶対愛の主体である神様であり、また絶対価値を軸として立てない限り、学問の統合的アプローチは不可能です。今や多くの人々が、絶対価値の必要性を認めるようになりました。今まで議長団ならびに準備委員の皆様が、無理解の中でも開拓者の道を歩んでこられたことに対して、私は有り難く思っています。
これから、「科学の統一に関する国際会議」はどこへ向かって行くべきでしょうか。毎年恒例の行事として集まって討議するだけで満足できるのでしょうか。私が近年になって新文化革命を強調してきた内容をもって、これにお答えしようと思います。今日、人類は悪からの、最も本質的かつ深刻な挑戦に直面しており、人類の本然の理想と幸福を実現する潜在力や素質が根本から破壊される、そのような危機に処していると思います。
「科学の統一に関する国際会議」の皆様は、新文化世界の創造を必ず成就すべきその大業に積極的に乗り出さなければなりません。絶対価値の探求は、探求自体で終わってはいけません。真理は永遠の方向性を内包しており、絶対価値を中心とした理想世界は必ず実現されなければなりません。そのためには、私たちの信念に基づく決行と現実の困難を跳び越える跳躍がなければなりません。
今日の世界は変わらなければなりません。神様の真理と愛を中心とした新文化革命を目指して、学者たちは責任をもって先頭に立たなければならない時です。新文化革命とは、人類と被造世界のための、神様の理想を指向しなければなりません。この理想を実現しようとすれば、私たちは各自が、知識の実現ではなく、真の愛の絶対価値の実現において責任を果たさなければなりません。
人類は今や飛躍しなければならないのです。人間が感じる現実の限界状況を根本的に克服するような新しい次元の文化的創造行為が求められています。人間の本性の深い所で感じられる神様の期待や、激動する歴史の背景にある神様の摂理と何の関係もなしに、人間自らの理性的能力によって自己完成と世界完成が可能であるという幻想と傲慢さから目覚めなければなりません。私たちは、人間の限界を謙虚に認め、神様の摂理によって到来した歴史的契機を見失ってはならず、跳躍によって神人合一の理想を成就しなければなりません。人間のための神様の創造理想でしたが、その理想は、神様の総合的な配慮の上に人間が応答することによって成就されるというのは、当然の帰結なのです。
絶対価値を実践する勇士となろう尊敬する学者の皆様。私は神様のみ旨に対する人間の応答、すなわち人間の責任分担を全うするために、生涯を捧げてきました。それがいくら険しい開拓の道だったとしても、避けていこうとはしませんでした。例えば、私はニュースと情報の既存の報道姿勢と体制に対して代案を準備することを決心しました。私は報道機関が大衆に正しい情報や間違った情報を伝える過程を深刻に観察してきました。多くの方々も御存じのように、私は経験を通して、報道媒体の力の誤用が、真実を歪曲し、善を蝕むことがあるという点を知りました。
ですから、私は過去数年間、多大の犠牲を甘受しながら、「ワシントン•タイムズ」を育ててきたのであり、最近、ニュース週刊誌「インサイト」を発刊し、さらに月刊誌「ワールド•アンド•アイ」を来月創刊する予定です。これらのプロジェクトは、真理や普遍的善の価値に貢献する教育やニュース、および公的情報伝達の代案的媒体となることを目的としています。
特に皆様は、「ワールド•アンド•アイ」誌に積極的に寄稿をしてくださり、持続的真理探究とその暢達(ちょうたつ)に参与なさることによって、新文化革命の旗手となってくださるよう勧告いたします。さらに、「世界平和教授アカデミー」の基盤と「パラゴンハウス出版社」の出版活動を連結して、絶対価値に立脚した学問の諸分野の専門事典の編纂を計画しています。これらのすべては、絶対価値のもとにおける、人間の本性に対する正しい洞察となり、正しい教育資料となる人間事象の大百科事典を編纂するための準備作業の一環です。
尊敬する学者の皆様。既存の矛盾する世界を、代案なしに傍観、放置しながら、自分の指導的力量と社会的責任を果たしたと言えるでしょうか。一時的な契機ではなく、神様が歴史的、世界的にお許しになったこの貴重な契機を逃すことなく、私たちは模範を示さなければなりません。私たちは万民に、不義に対する確固とした覚醒を悟らしめ、私たち自らが跳躍することによって、模範を示さなければなりません。飛躍には、冒険がつきまとうものです。逆説の基盤の上での立体的な冒険は、より大きな困難が予想されます。しかし、真理のあるところには、それに伴う実践があるものです。私たちは絶対価値を実践する勇士となって、積極的に世界を指導しなければなりません。
今回の会議が、自由討論の場から有益な結論が導き出される会議となるだけではなく、私たちの決意によって、陣痛の中で身もだえする世界をして、身ごもった新文化世界を一日も早く出産せしめるように促進する歴史的な行事となることを願います。最後に今回の会議のための準備委員会の会員の皆様の労苦に感謝しながら、参加者の皆様と皆様の御家庭に神様の祝福が臨むことを祈ります。
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