神様と人間の本然の関係は、真の愛を中心とした関係です。神様と私の共同所有、全体と私の共同所有、また隣人と私の共同所有など、様々な場合がありますが、神様の真の愛が中心となった感謝する心をもって共同所有するようになっているのです。
神様の愛を完成した人間がつくりあげる理想世界においては、全体目的と個体目的は自然に調和するようになっています。人間には欲望もあり、愛の主体性をもっているので、個人所有や個体目的が許されているのです。だからといって、無制限な個人所有、あるいは全体目的を害する個体目的を追求することはありません。完成した人間は、自らの良心と本性によって、自分の分限に合った所有量を取るようになるのです。
特に、真の愛による万物の真の主人の人格をもった理想的な人間の経済活動は、愛と感謝を底辺とするので、欲張ることや不正はあり得ないのです。同時に全体目的に反して地域や国家の利益が強調されることはあり得ず、経済活動の目標は、利潤の追求ではなく、全体の福祉に焦点が絞られるのです。
共栄主義とは、神様の真の愛を基盤として共同参加し、自由、平等、幸福の理想が実現される政治を追求する主義です。共同政治参加の形式は、代議員を選出することになります。しかし、政治の単位が愛中心の家族関係の拡大であることを理解するとき、代議員の候補者は互いに敵対関係にはなり得ません。一人の神様を父母として侍る兄弟関係によって周辺から推薦され、奉仕する使命感をもって候補になるのです。
そして、いくつかの選出段階の過程を経るときや最後の決定には、不純な人為的条件が介入されることなく、神様のみ旨に従って決めなければなりません。すなわち、祈祷と厳粛な儀式によって抽選で当選者を確定する方式になるのです。神様のみ旨と天運によって当落が決定されるので、みな感謝し、その結果を喜ばしい心で受け入れます。理想世界の国家の重要機関と部署は、共同目的のもとで、互いに円満な授受作用をしながら調和します。ちょうど人体の様々な器官が、頭脳の指示による共同目的のもとで、合目的的、あるいは自律的に協助し合うのと同じです。
共義主義とは、真の愛を中心とした普遍的な倫理、道徳を守り、構成員すべてが善と義の生活を追求する主義のことをいいます。これは、神様の真の愛による絶対価値のもとで、万民が倫理と道徳を普遍的に実践する道義社会を目指す思想となるのです。
理想世界は、理想家庭と完成した人間を前提としています。真の愛による理想的な父母、理想的な夫婦、理想的な子女の統一的な調和が理想家庭の要件になります。また、完成した人間は、真の愛によって心身が調和統一を成し遂げた人です。このように完成した人々が、真の愛の基地である家庭生活、またその拡大である社会生活において、主体的に善と義を行う最高の愛の世界、道義世界が正に理想世界なのです。
いかなる専門的な知識があったとしても、真の愛に比べればそれは十分なものではありません。私たちは、何が人間を幸福にしてくれるのか、ということに対する知識をもたなければなりません。その知識というのは、正に全知全能であられる神様のみ旨なのです。ですから、真の知識とは、神様のみ旨を知ることです。神様が理解され御覧になるのと同じ基準で、世界と歴史と人間を理解して見ることができなければなりません。
すべてを御存じであられる神様が創造された、結果の世界に対する一部の知識を習得したからといって、自慢したり、独裁者のように振る舞って他人を支配したりすることは、学者として望ましい道理ではありません。皆様の目標は物理学と化学、そして生物学などの新しい発見を論じることだけではありません。そのような発見や学問的な成就が、個人と人間の全体社会にいかなる利益となるのか、そして人間と世界と万物との調和の取れた関係をいかに成し遂げるのか、ということに関しても理解し、検討しなければなりません。
科学の発見は、あまりにも頻繁に、一個人、あるいは一国家の征服や繁栄のための利己的な目的に誤用されてきました。学問的な発見や発明は、神様が人間に与えてくださった大いなる祝福です。神様は、人類全体と世界のために、このような祝福を下さるのです。もしも祝福によって得られた学問的成果が、ある部類の利己的な目的にだけ利用されるのだとしたら、それは善の可能性が悪に変わってしまうのです。
「世界平和教授アカデミー」に対する期待ゲルホルム議長、これまで第二十回「科学の統一に関する会議(ICUS)」のために注いだ教授の努力に対して、個人的に深甚なる感謝を棒げます。教授は、「ICUS」の創設以来、ずっと共に働いてきており、また「ICUS」のビジョンの最高の位置を代表しています。
今回の会議に、遺伝学と生物学、そして人間の老化問題など、最近の数々の研究に関する論議のために、全世界の碩学たちを集めました。これらの研究は、新しい可能性を切り開きましたが、その正しい使い方のための新しい道徳的、あるいは社会的挑戦が付きまとうことと思います。私は、今回の「ICUS」が甲斐ある収穫を収め、世界に大きく寄与する成果があることを祈ります。
「世界平和教授アカデミー」は、一九七三年、世界平和のための学者たちの積極的な探究と実践のために創設されました。特に、大学社会において、世界平和のための能動的な研究と実践の機会を提供してきました。世界に山積した問題は、良心的な碩学たちの指導を待っています。
教授たちは、理論を教えるだけでなく、学生たちに人格と価値を植えつけてあげるのです。教授たちは、学生たちの人格形成と発展に重要な影響を与えることになるので、彼らを善の道に導き、助けなければなりません。
私と私の妻は、「世界平和教授アカデミー」を通して、世界の若者たちが、超国家、超宗教的に和合する未来社会の立派な指導者となるよ宗教育することを目標に、「世界大学連盟」を開設しました。尹世元(ユンセウォン)総長とルーべンシュタイン総長の知恵深い指導のもと鮮文大学とブリッジポート大学を中心に、私の構想が実践されることを期待しています。
「世界大学連盟」の活動によって、世界各地の学生たちは、世界最高の学者たちの教えに接し、また教授たちは、国境を超越して多くの学生たちを指導することができるので、より良い未来のために、より大きく寄与するようになるでしょう。教授たちは若者に多くの影響を与えます。しかし、人は父母を通してより大きな影響を受けるのです。個人の性格と人格形成に最も大きな影響を及ぼすのは家庭です。
人生において、家庭は、最も重要な愛の学校です。子女たちは、家庭において父母だけが行うことのできる愛の教育、情緒教育を通して、心情の深さと幅を育てられます。これが子女の人格をつくる礎石となります。また、家庭は、子女に美徳と規範を教育する学校です。人は、このような情緒教育と規範教育を受けた土台の上で、知識教育、体育、技術教育を受けなければならないというのが天道です。
父母は、子女に真の愛を施す真の父母になると同時に、真の師となって心情教育と規範教育を正しく行うようになっています。たとえ父母が真の師であることを自覚できなくても、子女は、父母からありのままの姿に似て学ぶようになるのです。父母の役割は、このように重要です。子女は、父母が与える真の愛と父母の愛の生活に似ていきながら、愛の人格が形成され、霊性が啓発されていくのです。今日、全世界にわたって、家庭が変わりつつあり、伝統的な家庭は様々な面から挑戦を受けています。産業化と現代化が加速するにつれて、人類の価値観は崩壊し、倫理と道徳の基準が揺さぶられています。さらには、個人主義、快楽主義、拝金主義などによって人間性が抹殺され、フリーセックスと不倫はますます助長され、家庭が破壊されつつあるのです。
真の家庭を立てるために先頭に立つべき尊敬する学者の皆様。これはどれほど不幸な風潮でしょうか。このまま放置すれば、人類は、未来に希望をもつことができなくなります。いくら社会的条件が変わったとしても、父母と子女の関係の重要性を揺るがすことはできず、家庭の大切さもまた変わりません。重ねて申し上げますが、愛は人間の幸福と喜びの源泉であり、家庭はその幸福と平和の基台になるのです。
数日後に私が執り行う歴史的な三十六万組の祝福結婚式は、私が生涯を捧げ、理想家庭に対して教育をしてきた結実の一つです。祝福儀式に同参する人は、理想家庭を築くことを既に神様に誓約し、不変の愛を祝福によって許された人たちです。神様の真の愛を中心に真の夫婦となり、父母となって真の家庭を築く人たちです。祝福行事は、一教団の結婚儀式だけではなく、病んだ人類を生かし、愛の秩序を回復させ、家庭の危機を救う救世の儀式なのです。統一教会でこの祝福行事のモットーを「理想家庭を通じた世界平和」に定めた理由もここにあるのです。
家庭の未来を診断する今回の「世界平和教授アカデミー」世界大会を開催するために御苦労されたカプラン議長の指導力に感謝申し上げます。百二十ヵ国から参加した碩学たちと共に真の家庭像を打ち立て、不正と不倫の現世代に挑戦しなければならないと思います。皆様は、問題の分析や理解だけではなく、責任を負って、理想家庭を創造し、指導していかなければなりません。理想家庭によって社会を先導し、明るい未来を創造すると期待しています。
今回の期間に、神様の加護のもとに行われる全体会議と分科会議が、皆様の熱を帯びた討議によって立派な成果を収め、さらに皆様が韓国に滞在する間、意義のある、有益な経験をすることを願ってやみません。皆様の家庭と皆様が携わるお仕事の上に神様の御加護があることを祈りなから、これで私の話を終わりにしようと思います。ありがとうございました。
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