日時:一九九二年五月二十一日
場所:アメリカ、ワシントンDC、オムニ•ショアハム•ホテル
行事:「ワシントン•タイムズ」創刊十周年記念式
内外の貴賓と「自由の賞」受賞者、ならびに紳士淑女の皆様。私は「ワシントン•タイムズ」の創設者として、「自由の賞」の受賞者に祝賀の意を表する次第です。
皆様は、自由守護のための業績を認められる資格が十分にある方々です。今夜、このようにして振り返ってみると、「ワシントン•タイムズ」の設立を決定した一九八一年当時のことが思い出されます。
共産主義の崩壊に決定的な役割を果たす私と共に、当時の状況を回想してくださることをお願いいたします。「ワシントン•スター」が廃刊になることによって、アメリカの首都であり、自由と民主主義の世界的な灯火であるワシントンDCに、リベラルの代表的新聞である「ワシントン•ポスト」だけが残るようになった事実は、許容し難いことでした。
当時、「ワシントン•ポスト」が築き上げていた領域に、新しい保守系紙が挑戦するということは考えられないことでした。はっきりと申し上げますが、政治的影響力の増進や宣教の手段、あるいは個人的蓄財追求のために私がこれを行ったとすれば、「ワシントン•タイムズ」の設立は、それこそ誤った事業だったはずです。実際、私は、これまでの十年間、この新聞に十億ドル近い資金を投入しました。
私が「ワシントン•タイムズ」を設立したのは、ただ、この事業がアメリカとアメリカのユダヤ教とキリスト教の遺産を愛される神様のみ旨であり、神聖な計画であることを理解したからでした。
神様はアメリカに、伝統的価値観の崩壊から世界を救うための中心的役割を引き受けてくれることと、共産主義の脅威から自由世界を守ってくれることを望んでおられます。ですから、神様のみ旨成就のために全生涯を捧げてきた私は、アメリカがこのような摂理的な役割を遂行するに当たって責任ある指導力を備えさせるために、少しのためらいもなく、「ワシントン•タイムズ」を創刊しました。
今回の十周年記念式は、「ワシントン・タイムズ」が共産主義の崩壊に決定的な役割を遂行したことを祝って、アメリカと世界の将来を輝かしいものとするための行事です。私はこの機会に、世界の平和統一実現の原則を皆様に明らかにしたいと思います。
平和統一の根幹は真の愛紳士淑女の皆様。この世で最も大切なものがあるとすれば、それは神様を中心とした真の愛です。皆様がお金や権力で買うことのできない何かがあるとすれば、それは真の愛です。
真の愛は、関係がつくられなければ実現できない特性があります。その関係とは、主体と対象という二つの存在が互いに与え合うことを必要とします。夫と妻の愛、父母と子女の間の愛、兄弟姉妹の愛は、そのような関係の中でつくられるのです。同様に、神様も、真の愛の理想を実現するためには、御自身の対象である宇宙を創造する必要があったのです。
神様のすべての創造物の中で、人間は愛における最上級の存在としてつくられました。私たちは、真の愛を通してのみ、神様と人間、男性と女性、そしてすべての被造物の間に真の調和を形成することができます。
真の愛は、すべての統一体と絶対価値の究極的な中心です。この真の愛は、人のために生きる行為から始まります。他人のために尽くしたのち、その行為を忘れて再び尽くすのが真の愛の属性です。それで、神様が愛する対象を創造されるとき、神様自らが、その創造のために尽くされたのです。神様は御自身がもっておられるものをすべて投入されました。その後も、神様はさらに投入され、また再び一〇〇パーセント投入されるのです。
自然界で空気が移動するとき、真空状態になったとしても、空気は素早く回転運動をしながら、その真空を満たすようになります。人間の人生においても、私たちが愛を施し、それ以上与えるものがなくなれば、神様の限りない愛が私たちの心に直ちに伝わり、空いたところを満たすようになるのです。これが根本的な精神的真理です。
したがって、人のために絶対的に尽くすようになれば、私たちは無限の力を得るようになります。神様は人間を愛する主体的立場におられます。神様が繰り返し愛を施そうとされる本性は、不滅の動的作用となり、神様の永遠の存在の特性を形成するようになります。これは論理的な方式で現れます。永生は、真の愛を実践する生活の自然な結果なのです。
愛には、相続権と同位権、そして同参権という特性があります。アメリカの大統領になった人の中で、妻は高等学校も出ていない人もいるでしょう。しかし、彼らが互いに真の愛で愛し合うようになれば、夫に属するものは同時に妻に属するようになります。彼らは昼夜を共に暮らすので、大統領夫妻としてそれぞれホワイトハウスを占有する権利があり、共に国家の運営に参加するようになります。
愛にはこのような重要な三つの特性があるので、皆様が神様の絶対不変の愛を占有する位置につくようになれば、神様と共にいるようになります。皆様は、いつも神様と共に暮らす権利をもつようになるのです。
皆様がこのような真の愛を、皆様の心と体に一〇〇パーセント受け入れれば、神様の愛の根が、皆様の心で育つようになるのです。そうして皆様は、神様が感じるすべてのことを感知できるようになり、皆様の体は自動的にそこに共鳴するようになります。
したがって、皆様自身を神様の真の愛でいっぱいに満たすことは、心と体を統一させ、神様の永遠の対象になるための必須条件です。私たち人間が、神様の愛に共鳴し、神様と統一される領域内に入るようになれば、神様の愛は皆様の愛になり、神様の生命は皆様の生命になります。そして、神様の血統は皆様の血統になって、神様の創造物は皆様の創造物になるのです。
人間の生は、神様の生に似ています。神様の生の核心は、対象のために生きる真の愛です。ですから、人間は他のために創造されたというのが、神様の原理です。他のために生き、犠牲になることによって、愛の理想が実現されるのです。
このような原理を念頭に置いて考えるとき、各自が自分のために生きる、現代の個人主義哲学からは、世界平和は期待できません。個人が神様の対象として生きる領域を破壊することが悪の目的です。そのようなことが起これば、自分のために生きる個人だけが残るようになります。これが、家庭破壊と人種間の葛藤、経済的不平等と宗教間の葛藤をもたらす根本的な原因になるのです。
アメリカに来た目的は若者たちを覚醒させるためアメリカは、ユダヤ教とキリスト教を中心とした愛の精神の上に建てられました。それなのに、なぜアメリカはこのような個人主義文化を発展させてしまったのでしょうか。私は、共産主義と闘いながら、アメリカの若者たちを呼び覚ますために、絶えず努力してきました。そして、私は、自由世界に対し、退廃的傾向に陥ってはいけないと繰り返し警告しました。しかし、アメリカはいまだに数多くの社会的弊害に苦しめられています。麻薬との戦争、エイズ、次第に増加する暴力犯罪など、ありとあらゆる弊害現象が、暗い将来を予告しています。アメリカがもつ軍事的、経済的、知的な力を動員したとしても、このような悪弊を退治することはできません。
これこそが、私がアメリカに来ることになった理由です。私は傷を治すために呼ばれた医者のような立場にあります。私はアメリカで不当に起訴されても、それに応じるために進んで韓国から戻りました。なぜなら、真理が勝利すると信じたからです。私は不当に起訴され、収監されました。それでも私は、アメリカを救おうという思いに変わりはありません。
私は裁判を受ける間、被告席に座り、「ワシントン•タイムズ」創刊のため最初の小切手に署名しました。「ワシントン•タイムズ」は、ニュース報道と論説を通し、共産主義の脅威に対してアメリカ人に警戒心を呼び起こすことに決定的な役割を果たしました。また、ダンベリーの監獄にいるとき、この国を助けるという精神から、雑誌「インサイト」と「ワールド•アンド•アイ」を発行するよう指示しました。
雑誌「インサイト」は、アメリカ議会の議員の指導力がどの方向に発揮されているのかを一般大衆に知らせるために、彼らの投票実績を毎週公開しました。そして、「ワールド•アンド•アイ」は、世界的に有名な学者たちの、人々を善導する論文を掲載し、人類の将来における思想的な地平を広げようと試みてきました。
Create your
podcast in
minutes
It is Free