日付:一九九二年八月二十六日
場所:韓国、ソウル、シェラトン•ウォーカーヒル•ホテル
行事:「世界平和女性連合」世界大会(真のお母様)
世界各国から韓国を訪ねてこられた「世界平和女性連合」の指導者の皆様、そして韓国の各女性団体の指導者の皆様。きょう、このように世界各国の女性指導者および韓国の各界女性指導者たちが会場を埋め尽くす中、世界平和のための私の所信の一端をお話しできますことを、この上なく光栄に思います。
今の時代は、正に理念の障壁や言語、もしくは文化の違い、または人種的葛藤を越えて一つの世界へと侵入する重要な転換期を迎えています。私たち女性が、愛と平和の新しい世界のためにきょうの集会を開催するようになったことは、単なる偶然ではなく、神様の摂理であり、滔々(とうとう)と流れる歴史の必然であり、宿命なのです。
これまでの歴史においては、男性の役割が強調されました。男性中心の世界であり、社会体制でした。しかし、不幸にも、男性たちが主導してきた世界の実情は、一言で言うならば闘争と罪悪の歴史だったと結論づけざるを得ません。ですから、人類はこのような罪悪と闘争の世界で、善と平和があふれる幸福の世界を夢見てきたのではないでしょうか。戦争、革命、闘争、抑圧、支配、葛藤、暴力などが人類歴史の大半を占めており、男性的な力の論理が通用し、男性的なイデオロギーが支配してきたのです。
しかし、今の時代は違います。今日の歴史は平和、和解、慈悲、愛、奉仕、犠牲を要求しています。男性的な力の論理だけでは現実問題を解決できない時代です。これ以上、人類を抑圧するイデオロギーは必要ないのです。より女性的な愛の論理で現実問題を解決し、歴史の方向を正さなければならない時です。二十一世紀をわずか十年後に控え、暴力革命と階級闘争を掲げて人類を無残に蹂躙してきた共産主義が、その結末を告げているのも、これ以上戦争を許してはならないという世界の言論のひたむきな声も、新しい女性時代の開幕を知らせる兆候であり、女性解放の時代、世界女性時代の到来を宣布する世界史的転換ののろしです。
世界各国からお集まりになった女性連合指導者の皆様。私はこの歴史的な場で、儀礼的な挨拶をしようとは思いません。過去と現在、そして未来の意味を歴史に宣布するお話を語ろうと思います。理解と協力を指向する、この歴史的転換時代に、私は「神主義」を基本として、永遠の平和世界の建設のための大原則を提示しようと思います。すなわち、未来世界を開拓する女性たちの表題とするために、「世界平和と女性の役割」という題目で、夫である文鮮明総裁が主唱してきた「頭翼思想」と「神主義」を再び皆様にお伝えしようと思う次第です。
本来神様は、喜びを享受されるために、愛する相対を造られました。彫刻家は一つの傑作を作るために、夜を徹し、精力を消耗しながら全力を投入しますが、そのような心はいったいどこに由来するのでしょうか。喜びを味わうために愛の対象を創造された神様の心に似たのではないでしょうか。存在世界を見ると、鉱物界、植物界、動物界、そして人間世界までも、すべてペアになっていることが分かります。人間世界には男性と女性、動物世界には雄と雌、植物世界には雄しベと雌しベがあります。
また、分子世界には陽イオンと陰イオン、原子世界には陽子と電子があります。一言で言えば、すべての存在世界はペア•システムになっているのです。ペア•システムとは、すべての存在が愛を中心として互いに相対性を帯びて存在することを意味します。互いがために生き、愛することのできる相対がいなければ存在できないということです。なぜペアで存在するのか御存じですか。それは互いに愛を中心とした理想的な作用をするためなのです。世界のどこにも愛を与え合うことのできる相手がいなければ作用できないのであり、作用できなければ、存在と繁殖ができないのです。したがって、それは既に死んだ存在のようなものです。神様が人間を創造されたのは、愛する対象が絶対的に必要だからです。人間世界において、我が子が親の自分よりも立派になることを願う父母の心は、正に神様が人間をお造りになるときに抱かれた真の愛の心情にその根を下ろしています。自分より相字が立派であることを願う心は、本来神様から来た真の愛によるものです。すなわち、神様は、百を投入すれば百だけの存在にしかならないので、百以上を投入するために、忘れて、また投入するのです。しかし、自分よりも大きな対象が現れるようになるので、引き続き忘れては投入し、最後には生命までも投入するのです。ここから真の愛は始まります。
神様の真の愛は、投入してまた投入し、与えてまた与えても忘れる愛です。与えたという記憶が残っている限り、愛は無限に回ることができないのです。愛は無限に運動するものなので、与えたことが記憶にとどまってはいけません。与えてまた与え続けても記憶に残らないので流れるのです。
本来真の愛とは、神様の絶対愛のことをいいます。そして、愛には相続権があり、一体となることによって永生の論理が成立するのであり、真の愛を実践する家庭と社会は、永遠に滅亡せずに発展するのです。神様の相対として造られた人間が、神様のみ言に逆らわず、神様のみ旨のままに成熟して、絶対不変の真の愛を神様から相続していたならば、人間世界には根本的な平和の歴史が展開されるはずだったのであり、戦争のような血を流す悲惨な歴史はなかったはずでした。その真の愛の中で、個人はもちろん、社会や国家間における対立や葛藤までもが完全に超越され、溶かされて、真の平和世界が形成されていたはずでした。
しかし、人間始祖の堕落により、そのような真の愛を私たち人間は完全に相続することはできませんでした。不幸にも人類は、神様の真の愛の相対者として完成できなかったがために、神様の代わりに真の愛の実体として立つべき真の父母の位置を失ってしまったのです。それでは、人間始祖の堕落の起源は何でしょうか。聖書を見ると善悪の実を取って食べたことが原因となっています。ところが、その善悪の実を取って食べてから、どこを隠したでしょうか。本来は口や手を隠すはずですが、下部を隠したのです。それは、サタンを中心として行われた誤った愛を意味します。これが悪の血統を繁殖する起源になったのです。
人間にとって真の愛と真の生命、そして真の血統の根源地は正に愛の器官なのです。しかし、堕落によって、この神聖でなければならなかった愛の器官が、天理を破壊した凶悪な宮殿となってしまいました。悪の本拠地になったのです。ここに、偽りの愛、偽りの生命、偽りの血統が植えられました。十代の成熟していないときに、人間始祖のアダムとエバが堕落したのです。そのように悪を植えたので、歴史的に人間世界に悪の血統が広がっていきました。
ですから、終末である収穫の時が来れば、全世界的に青少年たちがアダムとエバのように愛の倫理を破壊し、退廃的な風潮へと流れるのです。このような現象を見たら、サタンの全権時代が極に達したことを知らなければなりません。そのときこそが、神様が鉄槌を下す審判の日となるのです。歴史的に神様のみ前に淫乱な都市、淫乱な国は必ず滅びていきました。
今日、アメリカ、ヨーロッパ、日本など、世界の先進国を見てみてください。東西、四方に吹き荒れるフリーセックスと淫乱の波を誰が押さえることができるでしょうか。堕落してサタン側になった人類は、野生のオリーブに例えることができます。その中で、幸いにも神様が分立して探し出した人類が宗教圏の野生のオリーブですが、これは神様の所有権の中にある野生のオリーブです。ですから、神様が自由に主管することができるのです。再臨主が来られれば一遍に切って接ぎ木しやすいように準備してきたというのです。そのとき初めて野生のオリーブが真のオリーブとなり、本然の状態へと返っていくのです。
私たち人間は、真の愛を中心として神様の血統と連結された真の息子、娘としての一体理想を成し遂げることができませんでした。ですから、メシヤが来なければなりません。メシヤは真の父母として来られる方です。真の父、真の母として来られ、サタンを追放し、自由解放の天国世界、平和世界を創建しなければならない重大な責任を負って来られる方です。
今や、世界史的勝利の伝統を立てた真の父と歴史的な女性の代表として勝利した世界的女性の代表である真の母に侍り、真の男性像はもちろん、真の母、真の妻、真の娘の理想像を確立しなければなりません。男性たちを正しく導き、アダムとエバを滅ぼした恨を歴史的に解かなければならない使命が私たち女性にあるのです。
尊敬する国内外の各界女性指導者の皆様。今や私たちは、到来した女性時代とともに、夫を抱き、子女を正しく養育する真の愛の模範的な実践運動を全世界的に展開しなければなりません。
そうして、夫と子女たちの積極的な支持を得て、「世界平和家庭連合」へと発展しなければなりません。「世界平和女性連合」の運動は、女性だけのための運動ではありません。まず、夫と子女のために生きる真の愛の運動として、理想的な家庭を結実させなければなりません。
このようにして築かれた理想的な家庭が集まり、理想的な国家、理想的な世界を築くようになるのです。「世界平和女性連合」が「世界平和家庭連合」へと発展しなければならない理由がここにあります。
そして世界平和の具現のために、政治、経済、文化、そして社会の各分野において女性たちが先頭に立たなければなりません。左翼と右翼を統一し、無神論的唯物論を克服して、二十一世紀以降の永遠の歴史を先導していく「頭翼思想」、すなわち「神主義」こそ、私たち女性連合が堅持しなければならない基本的な価値観です。
私たちの家庭を真の父母、真の夫婦、真の子女の家庭として育てていくことにより、真の愛の主人公であられる真の父母を中心とした平和の世界に向かって総進軍しましょう。神様の祝福が皆様と皆様の御家庭、そして皆様の国に共にあることを願いながら、お話を終えさせていただきます。ありがとうございました。
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