私たちの「南北統一運動国民連合」は、この時点において何をするべきでしょうか。まず初めに、私たちは民族の和解と一致に向かう真の価値観を確立し、その価値観を中心として思想武装をしなければなりません。アメリカをはじめとした自由世界の弱点は、思想の空白が存在するという点です。物質の豊饒(ほうじょう)と自由の澎湃(ほうはい)(物事が盛んな勢いでわき起こるさま)が、価値観の混沌と世俗的な人本主義の台頭をもたらしたという事実です。自由世界は、思想的な面において繰り返し後退してきました。これは滅びゆく共産世界が、最後まで世界赤化の野望を放棄しない理由なのです。
第三次世界大戦は思想戦です。共産主義を軍事的にのみ敗北させることはできません。共産主義思想を凌駕する、より優れた思想でなければ、共産主義を敗北させることはできないのです。その思想というのは、正に真理に立脚した思想をいうのです。偽りは真によってのみ征服できるのです。その思想がほかならぬ「神主義」です。今後、自由世界は、「神主義」、すなわち「統一思想」で武装して理念的攻勢に転換しない限り、共産主義に打ち勝つことはできません。
「南北統一運動国民連合」は、汎国民的思想武装運動において先鋒に立たなければなりません。「神主義」は北朝鮮の同胞を解放するばかりでなく、全世界の共産主義を解放して余りあるものです。またこの理念は、放縦と不道徳によって腐敗していく西欧世界において、精神大覚醒運動を起こしています。
それで私は、一九七六年にアメリカの首都ワシントンDCで歴史的な「神主義」を宣布する大会を行ったのち、「次の大会はモスクワで開く」ことを宣布したのです。「神主義」は共産主義の世界を解放できるという信念があったからです。共産主義が速やかに衰退しない原因は、私たちにはっきりとした代案がなかったからです。また、より優れた思想によって武装されていなかったからです。これからは大韓民国から思想運動を起こし、共産主義克服のための汎世界的な運動を展開しましょう。私たちが思想的攻勢を取って、虚偽と欺瞞で飾られた金日成唯一主体思想を圧倒できずして、どうして統一を願うことができるのでしょうか。
また、私たちの「統一思想」、「神主義」は「頭翼思想」であることを明らかにしたいと思います。右翼でもなく左翼でもない「頭翼」です。人類の真の平和は、右翼によっても、左翼によっても成し遂げられません。その理由は、右翼も左翼も、その根本的な動機が利己主義を脱することができないからです。己を中心とし、自国の利益を中心とするとき、そこには永遠になくなることのない利害の衝突があり、そこには統一もあり得ず、平和もあり得ません。
利己主義を打破する新しい世界観が現れなければなりません。自分よりも他のために生きるという利他主義は、ただ神様の理想からしか生まれてきません。それは神様が愛の本体であられ、愛の本質は、自己を犠牲にして他を生かす利他主義だからです。したがって、「神主義」の本質は愛であり、その思想は、人の四肢五体を動かす頭に相当する中心思想です。それで「頭翼思想」というのです。
右手も左手も実は同じ体についているものです。頭がなければ、それらは互いに他人同士のように闘いますが、頭が中心に定着して入れば、右手も左手も共に頭の命令に従って、体全体のために働く一つの共同体になるのです。
ですから、南北統一も「頭翼思想」によって成し遂げなければなりません。それは北朝鮮が韓国を赤化することでもなく、韓国が北朝鮮を侵略することでもありません。共生、共栄、共義の「頭翼思想」で南と北の価値観を統一することによって、南北統一を成就するのです。
第二に、私たちは、統一を熱望する心をもたなければなりません。熱望のないところに実践は伴いません。私たち国民連合は今後、南北統一を信仰化する運動を繰り広げていかなければなりません。統一は我が民族の宿願であるのみならず、必然であり信仰です。統一を目指す私たちの湧き上がる真心があるとき、神様はこれを成し遂げてくださるでしょう。この点において、私たちは北朝鮮に負けていると言っても過言ではありません。彼らは、強制によるよらないはともかくとして、韓国の解放を熱望する心をもっています。そして、これを成し遂げるためにすべてを投入し、犠牲になろうとする姿勢をもっています。
今や、私たちの統一への熱望、自分が犠牲になってでも必ず哀れな北朝鮮の同胞たちを解放してみせるという熱望なくしては、南北統一は幻にすぎないのです。そこで私は、この国民連合の宿願事業として、休戦ラインの近くに「統一祈願殿」と「統一訓練院」を建て、私たち四千万の熱い統一への熱気を北に送る事業を計画しています。
第三に、私たちは実力を養わなければなりません。私たちの統一の方案は、平和的な統一方案であり、そのためには各方面で実力を育成しなければなりません。私たちは、金日成主席の赤化野望を放棄させ、その閉鎖された社会を開放し、究極的には彼の南侵の意図を放棄させなければなりません。金日成主席の主体思想を放棄させるためには、彼をあらゆる面において凌駕する実力がなければならず、その実力で溶かすことができなければなりません。その実力で、彼がやむなく承服し、おとなしく従うように導かなければなりません。
ここで、第一に重要な実力は価値観の確立であり、思想武装であることは既にお話しいたしました。次には我が国の国力伸張であり、国際的な地位の向上です。さらにこの実力の中で重要なものの一つは、我が祖国の先進的民主社会の建設です。真の民主主義のみが独裁に打ち勝つことができる要素なのです。個人崇拝の独裁集団に対しては、健全な民主政治の発展によって、それを無力化させることができます。「人民の、人民による、人民のための政府が、この地上から消え去ることのないようにしなければならない」と宣言したエィブラハム•リンカーンの言葉は真理です。ですから、我が祖国の民主化は、歴史の命題であり、国民良心の至上命令なのです。
最後に、私たちの南北統一のために養うべき実力の中で最も重要なものは、国際的に我が祖国統一の機運を醸成することです。言い換えると、世界的に思想武装を急がなければならず、アメリカを中心とした世界情勢、日本と中国を中心とした韓半島周辺の情勢を通して、統一の機運を盛り上げる積極的な方向に導いていかなければなりません。ソ連までも動員して、閉鎖された北朝鮮を開放させ、究極においては北朝鮮が閉鎖された現体制では存立できないことを自覚させなければなりません。
彼らをして、国際的な圧力と運勢に耐えられずに脱共産主義を宣言させ、民族大同団結の次元から考えざるを得ないという運勢を集めてこなければならないのです。虚構の基盤の上に立つ金日成体制は、一面、非常に強いもののようでありながらも、一旦崩壊し始めれば、絶壁を転がり落ちる物体のようなものです。
早くから私がアメリカに世界宣教本部を設け、自由世界の思想教育に努力してきたことは、皆様も御存じのとおりです。「ワシントン•タイムズ」をはじめ、各種の言論機関を世界の各所に設け、世界の言論人を教育し、世界の各大学の教授に方向性を提示し、世界各国の学生運動を主導し、退役将校をはじめとした在郷軍人を糾合し、南米諸国を統合する運動を起こし、世界宗教一致運動を以前から直接遂行してきました。
このように、私はこれまであらゆる力を尽くして、アメリカと日本に影響を及ぼし、ヨーロッパと南米の各国にも基盤を築き、ついには中国にまで影響を及ぼして、北朝鮮解放の国際的条件の造成に全力投球してきました。
韓国は、地政学的に極めて微妙な位置にあります。韓国を巡る四大強国、すなわちアメリカ、日本、ソ連、中国は、韓半島においてそれぞれ重要な関心と利害関係をもっています。私たちはこの四大強国に影響を及ぼして、私たちの統一の課業に有利な方向に導いていかなければなりません。そのようにしなければ、私たちの祖国統一は到来しません。そのような影響力と実力を、私は国際舞台における思想教育運動を通して、そしてその他様々な分野での成功を通して成し遂げてきたのです。
このような基台の上で出帆する「南北統一運動国民連合」は、韓国だけの単独的な団体であってはならず、アジア各国、ひいては世界各国との紐帯をもつ国際連合運動にならなければなりません。ですから、私たち国民連合は、今後「アジア国民連合」へと発展し、さらにまた「世界国民連合」へと発展していくでしょう。これが全世界人類の念願であり、また神様の念願でもあります。
皆様。私たちは今、ここで民族的であり、世界的なこの課業を受け入れなければなりません。歴史的な統一の課業は、皆様のような義人の支援を待っています。皆様は、このような歴史の召命を受けて、「南北統一運動国民連合」を結成するこの場に集まったのです。
檀君国祖の開国精神は、「敬天愛人」の思想です。今日、私たちのその崇高な開国思想が昇華されて、世界を価値観の混沌から救援する万民救世の思想、すなわち「神主義」として、この地に発祥したのです。
私は先ほど、韓国の問題は世界の問題の縮小体であり、世界の問題の解決は韓国の問題の解決と不可分の関係であると説明しました。このことは言い換えると、私たちの韓国から、世界の問題を解決する処方が生まれるという意味にもなるのです。私たちが南北統一の処方として使える「神主義」は、世界を共産主義から、さらには世俗的な人本主義から解放する処方ともなるのです。
愛国同胞の皆様。私たちは共に私たちの価値観を確立し、国民の思想武装に総決起しましょう。私たちは共に南北統一を熱望する心をもち、これを信仰化して、鉄壁も貫いていく情熱を燃やしましょう。私たちは大役事の行進の最前列に立っているのであり、「永遠の民族史の中で最も雄壮な南北統一の場を、神意によって私たちの手で成し遂げる」という自負と決意をもって、この国民連合を通じて、世界的な実践の基盤をつくりましょう。
皆様。きょうこの場所は、皆様が共に統一の働き手として召命され、任命状を受ける神聖な場所であることを心に刻み、両手のこぶしを固く握り締めて統一の誓いを立てましょう。私たちの願いである南北統一が成し遂げられる時まで、一つとなって総進軍しましょう。皆様個人と皆様の御家庭の上に、神様の祝福が共にあることを祈りながら、「南北統一運動国民連合」創設のメッセージといたします。
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