日付:一九九一年十一月三十日、十二月六日
場所:北朝鮮、平壌、牡丹館(モランクァン)招待所、ソジェゴル招待所
行事:真の父母様北朝鮮訪問歓迎および歓送晩餐会
私は四十年ぶりに平壌にやって来ました。そして、平壌が世界的都市として美しくつくられているのを見て、とても驚きました。あの清くて青い大同江(テドンガン)の水が、「今までどこに行っていたのか」と私を歓迎してくれているかのようでした。私は北朝鮮の約二千万人の同胞を本当に愛しています。「血は水よりも濃い」と言います。私たちは同じ血統を引いた歴史的兄弟姉妹です。
親愛なる北の兄弟姉妹の皆様。家族たちと会った瞬間、私は喜びと同時に胸が引き裂かれるような痛みを感じざるを得ませんでした。愛する人たちが南と北に別れ、きょうも出会いの喜びを分かち合うことのできない一千万人の同胞たちがおり、多くの人たちは、永遠に再会の機会を得ることがないまま、死に別れるしかないということを考えるとき、民族分断の悲劇は一日も早く終結しなければならないことを、きょうほど痛切に感じたことはありません。
我が民族は単一民族として悠久なる歴史において輝かしい文化を誇ってきました。しかし不幸なことに、我が民族は外部の意思によって強要された分断四十六年を生きてこなければなりませんでした。
これからは、二度と外部の勢力によって民族の運命が左右されることがあってはいけません。しかし、神様が守ってくださり、今では統一の時が近づいています。統一は民族の宿命であり、私たちの時代の課題です。私たちの時代に祖国の統一を実現できないならば、私たちは、先祖や子孫に永遠に頭を上げることができないでしょう。
祖国統一の聖業に関する深い対話を期待七千万同胞が対話と和解で大同団結し、今回の出会いを契機として万難を克服し、統一のその日に向かって躍進していかなければなりません。そのために私たちは協力しなければなりません。祖国の経済復興も共に成し遂げなければなりません。私は祖国統一のために身命を捧げる覚悟ができている人間です。私が、ここの同胞たちのために何をするかは、金日成主席と金正日秘書の構想を聞いて決定しようと思います。
このたびの私の北朝鮮訪問が還故郷の意義深いものであることは言うまでもありませんが、この歴史的な機会に金主席にお会いし、直接感謝の言葉をお伝えし、民族の団結と祖国統一の聖業に関して深く話し合う機会があることを切に願う次第です。
最後に、祖国統一に向かって私たちが共に総進軍することを誓い、祝杯を挙げましょう。ありがとうございました。
尊敬する尹基福(ユンギボク)委員長、そして尊敬する金達玄(キムダルヒョン)副総理、また今夜この場にお越しになった北朝鮮同胞の皆様。私は去る十一月三十日、夢にまで思い描いた故郷の地、北朝鮮にやってまいりました。これはもっぱら金日成主席の温かい御配慮があったからこそ可能だったと思います。私は北朝鮮に滞在中、歴史も深い、美しく建設された平壌はもちろん、名実共に世界一の名山である金剛山も生まれて初めて鑑賞し、四十八年ぶりに私の故郷、定州も訪れる機会をもつことができました。
故郷を訪ねてみると、私の生まれ育った家が七十二年も過ぎた今日まで、そのまま保存されており、家族や親戚たちが四十二人も集まり、私たち一行を歓迎してくれました。年を取れば取るほど、遠く離れていれば離れているほど、行ってみたくなる所、会ってみたくなる人たちのいる所が故郷です。私はその故郷に来たのです。しかし私は、家族と会った瞬間、喜びと同時に胸が引き裂かれるような痛みを覚えました。それは、今日、私と同じように幸福になれないでいる一千万人の離散家族たちのことを思ったからです。
私も、もはや七十歳を超えていますが、私のような高齢者たちは、愛する人たちと会うこともできず、近いうちにこの世を去らなければならなくなるでしょう。このような悲劇がどこにあるでしょうか。
ところが、思いがけず、金日成主席の温かい人道主義的な御配慮によって、悲惨な離散家族たちが再会できる希望が生まれました。来年から離散家族が再会できる制度を設けることを約束したのです。
皆様。私にとって南に持って帰る贈り物で、これ以上良いものはありません。離散家族再会のこの知らせは、南の約四千万人の血を沸き立てるでしょう。南では、にわかに金日成主席の徳望に感謝して敬うようになるでしょう。
統一の原動力は真の愛私はきょう、金日成主席と長時間にわたって会談する機会を得たことを、光栄の至りと存じます。もちろん、人それぞれ意見や見解の差はあるのは事実ですが、寛大で温かく、徹頭徹尾民族を愛されるその愛国精神は、私に大きな感銘を与えてくれました。私は今回、金主席にお会いし、直接感謝の気持ちを伝える機会をもつことができ、私にとってこれ以上の幸せはありません。
皆様。私は今回、八日間の故郷訪問中、国賓として手厚いおもてなしを受けました。尹基福委員長、そして金達玄副総理、その他私たち一行のために御苦労された方々に、熱い感謝を捧げます。皆様は真心をもって私をもてなしてくれました。私も心から北朝鮮同胞の皆様を愛しております。
私は今まで、統一の原動力は真の愛であると強調してきました。私は今回、北と南の間に真の愛の絆が結ばれたことを経験しました。
私は、最初にここに来たとき、「血は水よりも濃い」ということを強調しました。今、この地を離れるに当たり、民族をつなぐ愛が永遠であることをお祈りいたします。そして、ここを発つに当たって一言申し上げたいのは「愛は血よりも濃い」ということです。
二十一世紀の経済的奇跡と祖国統一皆様。昨日、尹基福委員長と私は共同声明を発表いたしました。そこにおいて私たちの祖国統一は、外勢の介入や干渉なく、自主的に対話と交渉を通して、平和的に実現しなければならないことで意見が一致しました。
また私たちは、我が民族が二度と戦争の惨禍を被ることがないように、南と北が相互不可侵に合意し、核エネルギーは、ただ平和的目的にのみ利用し、韓半島においては、核兵器の製造や配置があってはならないと主張しました。このような北朝鮮の平和的な真意を曲解する人がどこにいるでしょうか。また私たちは、北朝鮮に向けた海外同胞たちの経済的投資を歓迎し、私は北朝鮮当局が推進している経済事業に、様々な形で投入していく用意があることを披瀝しました。
私は、北朝鮮の豊かな資源と訓練された労働力と賢明な知恵、それに世界的な技術と資本が合わされば、二十一世紀の経済的奇跡は、正にここ北朝鮮の地で起こるという事実に微塵の疑いもありません。これはまた、統一に向かう偉大な建設なのです。
皆様。結論として、私は、北朝鮮訪問を通して受けた、熱い感激を胸に抱いてここを発ちます。統一への熱望はより一層熱くなり、統一の可能性は目に見え始めました。私たちは共に和解し、理解し、愛し合い、そして一致団結して、私たちの宿願である祖国統一の日を一日でも早めていきましょう。最後に、尊敬する金日成主席と金正日秘書の御安泰をお祈りしつつ、祝杯を挙げましょう。ありがとうございました。
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