日付:一九九二年八月二十二日
場所:韓国、ソウル、ロッテ•ホテル
行事:第五回「世界平和のための頂上会議」
尊敬する元•現職の大統領、国家元首と首相の皆様、ならびに各界からお集まりの世界の指導者の皆様。きょう私は、「世界文化体育大典」の一環として開催される第五回「世界平和のための頂上会議」の開幕を心からお祝い申し上げます。
また「韓国統一と世界平和」を大きな主題とする今回の会議に参加するために、世界各国から私の祖国を訪ねてこられた、たくさんの指導者の皆様に熱い感謝を捧げます。
未来の新しい理念今日の世界問題は、あらゆる多様な分野が相互複合的に連結されていることがその特徴です。したがって今回、「世界文化体育大典」という名のもとに、思想や政治分野をはじめとする学術、宗教、言論、科学、芸術など、すべての文化的分野の世界問題を幅広く一つ所で扱うようになったことは、世界平和の真の道を模索する上で画期的な貢献となるだろうと思います。
さらに今回の会議は、体育オリンピックと共に開催され、人間社会の精神的な面と肉体的な面を、均衡を保ちつつ発展させる方向性を提示する意義をもっています。
特に世界百三十ヵ国から、国籍と人種を超越して三万組の善男善女たちが集まる中で挙行される、歴史上最大規模の合同祝福結婚式は、二十一世紀とともに新しい歴史時代を迎える世界人類が、神様を中心に互いに和合することによって世界平和を実現する、平和の大道を見せてくれる壮挙になるでしょう。
過ぎ去った人類の歴史を振り返ってみると、一瞬たりともこの地上に真の自由と平和と幸福が実現された日はありませんでした。実際に、経済的平等という理念のもと、「人類を搾取から解放する」と言った共産主義は、むしろ闘争と貧困の凄惨な結果ばかりをもたらしました。
そればかりでなく、自由の理想を前面に立てて共産主義と対決してきた自由民主主義も、結局は、甚だしい利己主義と道徳的価値観の崩壊の中で呻吟しているという事実を、私たちは目撃しているのです。戦争の砲煙がこの地球上から消えるどころか、かえって一層激烈な葛藤と混沌ばかりが横行し、未来の世界を暗くしています。
しかし人類は、自ら経験してきた数多くの試練や苦痛に対して、誰も恨むことはできません。なぜならば、人間自らが、歴史の背後から人類を摂理してこられた神様の理想と目的を完全に排除したまま、人間のみを中心とした思想体系を立ててきたからです。
たとえ神学的な思考が時折考慮されたことはあったとしても、神様の根本的なみ旨と理念をはっきりと知らないまま、歴史の究極的な方向に対して、皮相的な観察ばかりが行われてきたからです。
したがって、未来の新しい理念は、人間に対する神様のみ旨と理想をはっきりと究明するだけではなく、神様と人間の関係を明確にできなければなりません。
真の愛は世界共通の平和の原理本来人間の心と体は、神様の真の愛を中心として、完全な一つの統一体を形成すようになっています。そして、このように神様の真の愛で心と体が一つになった男性と女性が、神様の真の愛を中心として出会い、夫と妻として一つの家庭を完成するようになれば、その家庭は、神様の真の愛を中心として一体となることによって、真の自由と平和と幸福の根源地になるのです。
神様の真の愛は、相対のために無限に与えようとするものです。愛の心をもつ父母は、自分の子が自分たちよりも立派になってくれることを願うので、子女のために多くのものを与えては、またもっと多くのものを与えようとするのです。愛する夫と妻もまた、相手が自分よりも優れた人になることを願うので、相手のために投入してはまた投入して、それを忘れるのです。
このように真の愛の特性は、相手のために投入してはまた投入しようとするところから、その作用が誘発され始めるのです。神様は、このように人間のために与える真の愛の主体的な立場にいらっしゃり、与えてはまた与える愛の本性がその作用を継続させることによって永存されるのです。人間は、神様のみ前に永遠の愛の対象として立ち、神様と共に永遠に愛を受けては返す、愛の一体関係をつくることが、神様のみ旨であり、人間の理想でした。
このように、神様と人間が真の愛を中心として、その理想の統一点を共有するようになるとき、初めて人間は、真の自由と平和と幸福を享受するようになるのです。このような原理は、一人の個人だけでなく、家庭と社会と国家、そして世界に至るまで共通の平和の原理として適用されるのです。このように人類は、神様の真の愛を中心として、神様と統一体の理想を成し遂げていかなければなりませんでした。それが人類歴史の根本的な方向だったのです。
韓国と北朝鮮を一つに統一する根本原則しかし人類歴史は、このような神様の方向と一致した道を歩んでくることができませんでした。それは正に人間の堕落のゆえです。人類歴史を通して、誰一人として、神様の真の愛を中心とした一体になった夫と妻になれなかったのであり、したがって、神様の真の愛に基づく真の父母の理想を成し遂げることができなかったのです。
反対に人類は、悪魔を中心とした結婚生活を通して、偽りの愛と生命と血統を受け継いできたので、これを清算して、神様の本然の愛と生命と血統を再び取り戻すために、真の父母として来られるメシヤを待ち望み、準備してこざるを得なかったのです。人類歴史が初めからこのような神様の理想的方向と一致していたならば、人類は、幾重にも分かれて互いに争い、葛藤と搾取と抑圧によって屈折した、そのような姿を見せることはなかったはずです。真の愛を中心とした真の父母、真の家庭、そして真の社会と国家と世界の統一的歴史をつくってきたはずなのです。
分断された韓国と北朝鮮を一つに統一する根本原則は、神様の真の愛を通して心と体が一つになった真の個人と真の家庭を完成するときに初めて可能なのです。さらにこの原則は、取りも直さず、世界が真の自由と平和と幸福を実現するための平和の原則にも拡大できるのです。
ですから、韓半島の統一は、未来の統一された一つの世界、さらに神様と人間までも一つにできる重要な契機をつくるものなのです。
きょう「韓国統一と世界平和」について議論する、ここ韓半島は、人類歴史を通じて葛藤してきた神本主義であるヘブライズムと人本主義であるヘレニズムの二つの思潮が、自由民主主義と共産主義という名のもとに鋭く対峙する、理念的対立の歴史的現場です。ですから、韓半島での理念的な分断克服は、すなわち統一された一つの世界を指向する理念的指標になるでしょう。
一九五〇年に勃発した韓国動乱は、第二次世界大戦後、全世界が米ソ両国を中心とする冷戦時代に突入する最も具体的な始発点でもありましたが、実に韓国動乱は、世界の民主陣営と共産陣営が鋭く対立する縮小版として、歴史の二つの系統となってきた神様の勢力と悪魔の勢力が対決する最前線だったのです。
このような観点から考えてみるとき、韓国動乱は、世界の善側を代表して悪魔の勢力と戦った聖戦とならざるを得なかったのです。今、冷戦時代の始発地域である韓半島が統一されなければ、本当の冷戦時代の終息は期待できません。
去る一九八八年にソウルで開催された第二十四回オリンピックがもつ意味は、大変大きなものです。十二年間も米ソ両陣営が互いにボィコットしたオリンピックに、初めて東西の両陣営が共に参加し、東西和合の始発点がつくられました。また類例なく世界から百六十ヵ国の国々が参加し、全世界の和合の象徴になったりもしました。
そしてこのオリンピックは、世界を健全なものにするには、肉体的な面だけではなく、精神文化的な面での発展がより一層重要だという認識をもたらす契機にもなりました。
そうして私は、八八年のソウル•オリンピックの幕が下りると同時に、全人類の精神と肉体の両面を、均衡を保ちつつ啓発させることのできる、新しい次元の人類の大祝典「世界文化体育大典」を開催するための準備に着手し始めたのです。
霊的な大覚醒が必要な時韓半島の葛藤は、先進国と発展途上国との間の葛藤だけではなく、東西文化の葛藤までもよく現しています。ですから、韓半島の統一は、世界平和と不可分の関係にあるだけでなく、未来の世界問題の解決に対し、重要な方向性を提示する指標になるのです。今日の世界は、霊的な大覚醒が必要な時を迎えています。
個人や国家や世界のすべてが、神様の実在に対する新たな理解だけではなく、神様と人間が再び出会い、切っても切れない本然の関係を再び取り戻さなければなりません。このために私が提唱したのが、真の愛を中心とする「神主義」なのです。この「神主義」は、左翼でもなく、右翼でもない「頭翼思想」と呼ばれています。
私は、真の父母の使命を引き継いだのち、この「神主義」を通して世界平和を実現するために、あらゆる受難と試練を経験してきました。この「神主義」は人々に、人類歴史を通して人本主義に押し出され、物本主義によって忘れ去られた神様を再び探し出させ、神様と人間が共に出会う一致点を教えています。
無神論の本山として知られている旧ソ連でも、既に数万人の政治指導者、学者、宗教人などが、四泊五日の修練会を通して、「神主義」を悟り、新しい霊的ルネサンス運動に拍車を掛けています。
神様と人間が出会って一つになる場は、正に真の愛の場です。真の愛の中で、人間は神様に会い、永生を追求できるようになることによって、すべての世界問題を克服できるのです。すなわち、自分を犠牲にして、他のために生きる真の愛を通して、人種間の対決や、暴力、貧富の葛藤、環境破壊などに関する解決点を見いだすことができるのです。そして、真の愛を中心として一つになった家庭は、永遠と連結されるので、倫理、道徳の腐敗や青少年の堕落を防止できるのです。
真の愛によって一つになるとき、人類の未来は明るい二十一世紀の新しい歴史は、神様と人間が真の愛を中心として再び一体化するところから、その出発の起点を探し出さなければなりません。個人や家庭、社会、国家、世界のすべてが、真の愛の中で一つになるとき、人類は明るい未来が約束されるのです。
尊敬する世界の指導者の皆様。今日の時代は、既に政治、経済、文化などすべての面で国境を越えた超国家主義時代に差し掛かっています。これまで皆様が責任を負い、奉仕してきた国家単位の時代は過ぎ去り、これからは世界が一つに協力しなければならない新しい世界の舞台が開かれつつあるのです。
今日のこの世界はわずか何人にもならない小数の指導者たちによって、影響を受けて導かれています。この場にお集まりの皆様すべてが団結して、世界の人類を導く小数の指導者を教育し結束させるために先頭に立つ人になるならば、世界の未来は、皆様の手に委ねられるでしょう。
平和世界の達成は、すぐ目の前に見えています。二泊三日の皆様の会議が成功裏に行われ、人類の未来に新しい里程標がつくられることを願います。皆様のすべてに神様の加護が共にあることをお祈りします。ありがとうございました。
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