私は、早くから技術の平準化を主張してきました。技術は、その恵沢が人類全体に及ぶようにするための神様の祝福です。先進国が技術力を独占し、それを手段として開発途上国に不利益を与えることは、もう一つの搾取であり、罪悪であると言えます。
このような傾向は、紛争と不和の火種となり、世界平和を脅かすことになるので、私は世界を助けるための技術力を蓄積することに多くの財力をかけて準備してきました。例を挙げれば、ドイツにおいて世界トツプクラスの四大会社を引き継いで育成を続けているのが、自動車のライン生産を含めた機械製作会社です。
また、電子技術力確保のために、日本で先端電子開発会社を育成し続けています。ドイツと日本以外にも、いくつかの先進国で技術基盤を広げていますが、このような背景と実力の基盤がなかったとしたら、私が中国と容易に提携することはできなかったでしょう。
単純な企業の運営を越えて、今回のこの自動車工業都市造成のための投資も、北京の最高指導者たちを啓蒙し、新しいアジア太平洋時代の同伴者としてしっかりと連結し、その結果が北朝鮮の金日成主席に影響を与えるようにするためのものです。
私は、この中国のプロジェクトを、私たちの安保と救国の次元から離れて考えたことはありません。一方、私は、一九七六年、アメリカのワシントンDCでの大集会で、将来モスクワで大きな集会を開くことを宣布しました。世界の碩学たちと宗教指導者、言論界の著名人士、芸術界の代表たちを通し、既にその基盤を築いているのです。
ソ連が金日成主席の説得に乗り出すべき今、ソウルには私の招請でソ連のノーボスチ通信社のヤコブレバ編集局長をはじめとする五人の中堅言論人が訪問しています。彼らは韓国の発展した姿に驚嘆しており、帰路には日本共産党の様子を視察し、中国を経て、彼らが行きたくないと思っている平壌に必ず寄ってほしいと言いました。
韓国の発展した姿と鮮明な印象を北朝鮮の指導者たちにしっかりと伝えさせることによって、北朝鮮の指導者たちの誤解を防ぐのに一助とならしめるためです。彼らの一行には、韓国を紹介する一時間の記録映画を製作するチームがあり、ソ連に帰れば全国に放映することになっています。
そして、今度の十一月二十六日には、ソ連国営放送の会長、ノーボスチ通信社の会長など六人の代表的な言論人が、同じく私の招請でアメリカを訪問することになっています。今月の初めには、世界トップクラスのキーロフ•バレエ団のオレグ•ヴィノグラードフ団長がソウルを訪問し、私が設立したワシントンDCのユニバーサル•バレエ•アカデミーの学長を兼任することを確約しただけではなく、ソ連内で神様のみ旨のために多大な援助をすることを約束して帰っていきました。
また、十月二十七日から、ロシア正教本部と私が創設した国際宗教財団の共同主催によりモスクワで開催される、教会一致のための会議に、二十人の宗教学者と代表たちを派遣するつもりです。そして、遠からずモスクワで「世界言論人大会」を開催し、ソ連の改革と開放を側面から支援する予定です。
今回、始めた中国恵州の工業都市造成は、これから引き続き造成していく、アジア太平洋時代に備えた多目的工業都市四地区中の第一地区にすぎません。中国の大連•安東(丹東)地区、ソ連のハバロフスクと中国のハルビンを連結する地区、そしてソ連のウラジオストク地区が、残りの三地区です。
大連•安東地区は、新義州を通して北朝鮮にその恵沢が及ぶようにし、ウラジオストク地区は、北朝鮮の雄基(ウンキ)(羅先-ラソン)側と中国の延辺側にも恵沢が及ぶようにする計画です。
このような一連の事業と活動を通し、中国の指導部とソ連の指導部が韓国を正しく理解し、北朝鮮に直接的にも間接的にも大きな影響を及ぼすようにしてこそ、私たちの望む自由と民主の統一理想が実現するのです。
アジア太平洋時代の主役満場の貴賓の皆様。私たちは、この先十年後には、新しい世紀を迎えます。分断と対決で綴られた二十世紀を終え、高い道徳と価値が尊ばれる和解の時代を迎えなければなりません。ソ連とアメリカの二つの軸が世界を管掌していた西欧中心の時代は過ぎ去っていくのです。
今、アジア太平洋時代が開かれつつあります。私が先ほど皆様にお話ししたように、この時代に備えた四つの工業地区の造成がいくら重要だとしても、政府主導や一国の主管だけで簡単に成就できるような事業ではありません。この事業は、世界的な基盤と多国的企業の特性を生かすことができます。また、基本的に平和世界のための愛の実践という宗教理念に基づいて世界の力を結集することは、私だけができることであると思います。
そこに犠牲や損失があったとしても、私は継続して推進していくつもりです。各界の指導者である皆様が、一つの教会やグループの次元ではないこの計画に対して、韓国が主体的な立場を守っていくことができるよう、挙国的な声援と参加をしてくださり、その成果が南北統一と世界平和として結実し、韓国が太平洋時代の主役となるよう助けてくださることをお願いします。
そして、これらの事業は、どの強大国の指導者も、韓半島やアジアの重要性と役割から見て、簡単に無視することができず、部分的にでも同参(一緒に参加すること)、あるいは支援をせざるを得ない、平和の基地造成事業となるでしょう。したがって私は、このような歴史意識によって、太平洋圏に推進してきた多角的な計画とともに、既にアメリカ、中国、ソ連の基盤を通して、東西首脳会談を推進しています。
ソウルの漢南洞国際研修院で、東西四ヵ国の首脳会談を開催することによって、世界に平和のムードを醸成し、その基盤と余韻をもって、金日成主席が真の平和の道へと乗り出せるようにするのです。
新時代の指導理念は神主義満場の内外の貴賓の皆様。私たち人類は、思想的な葛藤を克服し、道徳性を回復した基台の上に、国際協力を通した愛の地球村家族の理想を実現しなければならない課題を抱えています。長い歴史を通し、人類の精神文化を創出してきたアジアから、新しい時代を指導する理念が現れなければなりませんが、それこそが正に私が主唱し、世界的に教育している「神主義」です。
そして、迫りくるアジア太平洋時代は、一つの隣同士のように近くなった地球村で、全人類が皮膚の色と文化の背景を超えて、共に調和して暮らしていかざるを得ない世界です。今、世界は、個々人の自己の存立のためにも、怨讐を想定できない和合の時代へと向かうように天運が追い立てています。
私たち韓民族は、神様を中心とした堅固な思想的基盤と正しい価値観のもとで生活することによって、新時代の導き手にならなければなりません。私たちは、小さな利害関係を超えて、国際関係に対する冷徹な認識のもとで、全民族的に団結した力を発揮して、アジア太平洋時代の主役にならなければなりません。
改めて、参席してくださった内外の貴賓の皆様に感謝を申し上げ、皆様の御家庭と皆様の携わる仕事に神様の祝福があることを祈りながら、これをもって御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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