11 孝進オンマ、どれほど苦労が多いでしょうか。早産になるかもしれないと心配したという知らせを聞いて、本当に申し訳なく思います。しかし、安定したということで幸いです。また、譽進、孝進がよく遊び、愛嬌を振りまくことを聞き、心から故国に思いをはせます。また、八月上旬が予定日だと思いますが、その時までに私が故国に帰ることができなくてすみません。
しかし、天が共にあることを思いながら、七月上旬にはカナダと南米大陸を経て、七月十五日にはイギリスの首都ロンドンに到着予定となっています。そのように過ごしてから、ヨーロッパ大陸を一ヵ月ほどかけて巡回し、ギリシャ、エジプト、ヨルダンを経由してアジア大陸に渡り、九月下旬か十月上旬には故国を目にする予定です。期待の思いでとても待ちきれないことを、よく知っています。特に体に気をつけて、健やかに過ごしてくれることだけを祈っています。また、この複雑な事情でいくら苦しくても、少し耐えれば良い方向に行く日が来るでしょう。
今、ワシントンDCでの生活は韓国と変わりませんが、食事の時や、眠りから目覚めるたびに、故郷への思いに浸ることがあります。そして、便りをそわそわと待ち望む思いを禁ずることができません。そのたびに、お母様も毎日のように、配達員が来るのを待っているだろうと思うと、便りを毎日のように伝えられないことを、心から申し訳なく思う時が何度もあります。
それで、今は八日の四時十五分ですが、外出準備の時間を利用し、待ち望むお母様に、急いで短い手紙を書いています。これまで、多くの人と対面しながら過ごしてきました。そして、時間さえあれば英語の勉強をしようとしていますが、能率が上がりません。しかし、続けています。お母様も、英語だけは勉強しなければなりません。アメリカに来て、さらに切実に感じました。少しずつでも続けてください。流れていく歳月を巡り、み旨のための精誠を乗せて送ります。いつも安らかであることを祈りながら、終わりにします。一九六五年六月八日、ワシントンDCにて。
12 お母様へ。今しがた、送ってくれた譽進の絵を見て、育ってゆく子供たちの知恵に、より一層心が満たされています。絵を見ると、本当にとても上達しているので、大きく成長しているのだろうと思います。とても会いたいです。孝進も、かわいい盛りのようですね。私をしきりに捜す姿が目に浮かびます。大きくなったでしょう。早く帰って会いたいです。新たに生まれる赤ん坊を思いながら、八月七日頃を一人で指折り数えたことが一度や二度ではありません。大変心配しているようですが、すべてを天のみ前に委ね、心配しないでほしいと思います。私は、そばにいなくても、心だけはずっと一緒ですから、天のお父様を仰ぎ、祈るばかりです。今、とても大変でしょうから、気をつけてください。譽進の手紙から、不安な気持ちを窺うことができました。出産は、お母様の計画どおりにするのもよいと思います。平安な気持ちで過ごせるように願うばかりです。
それから、時が訪れ、私たちの忠誠が求められる時期になりました。精誠の限りを尽くして、本部でも国外でも、努力が必要であることを切実に体験しています。本国がよくやってくれるので、うれしく思います。報告書を見るたびに、感謝するばかりです。すべて、天の苦労のお陰です。私たちは真の天的使命に、さらに深い責任を覚悟しなければなりません。日本の便りを聞いても、本国と同じく発展しているという報告です。アメリカも発展しています。先生が通ってきた所は、時の運が共にあることが分かり、感謝に堪えません。
早く目的とする「神の日」を成就させなければなりません。そこに向かって、また前進しなければならないでしょう。よく耐えて、勝利へと越えていくお母様の貴い姿が栄光を受けるように、私はすべてを尽くし、助けたいと思います。これから行く道に光明が宿ることを願って進みましょう。ぜひとも、体に気をつけてください。
食口を率いて未来の建設のために準備し、幸せな家庭を成就して天のみ前に捧げましょう。そうして、天宙復帰の聖業を高々と輝かせましょう。
普熙から、旅行計画書が届くと思います。それに従って旅する予定です。これからの道に天的意義があることを祈り、み旨に従っていこうと思います。アメリカの食口たちの苦労が、物心両面で大きいです。み旨に従って忠誠を尽くす食口たちの貴い姿を覚えていてください。これまで、私は多くの人々に会いました。とても気になっていると思います。ここの食口と、同行者たちも元気です。
世界を連ねて聖地を選ぶことが基台となり、全体の運動に天の恵みが宿ることを願いながら、忙しい旅に出発する日を望みつつ、整理しています。一九六五年六月二十二日、ワシントンDCにて。
13 孝進オンマ、この数日間も無事に過ごしたと思いつつ、また平安を祈ります。世界の変遷を促す歳月は、矢のように過ぎ去っていきます。既に、出発してから六ヵ月が過ぎました。あすが七月一日ですから、今、正に忙しく出発のための準備をしています。アメリカでの生活はきょうで終え、あすから再び休む間もない世界巡回で忙しくなります。きょうはアメリカの上院議員二人に会い、帰ってきてからすぐにペンを執りました。アメリカの状況は、ほぼ見当がつくようになりました。その他、二十五日にはアイゼンハワー元アメリカ大統領に会い、その何日か前にも上院議員に会いました。現代の世界的指導者たちに会ってみました。そのあと、いろいろと考えることが多くあります。私たちの大いなる理念を中心として、今後の世界宣教のためにいろいろと参考になることが多くあります。お母様は、韓国での使命がどれほど大変でしょうか。ありがとうございます。み旨のため、天に向かって孝女の責任を果たしてくださることを願うばかりです。
今、孝進と譽進の写真の前で手紙を書いています。彼らに見られている気分です。早く帰って会わなければと、写真を見て思いながら書いています。本当に会いたいです。さらに予定日が迫ってきていますが、私が一緒にいてあげられなくて申し訳ありません。出産に関しては、協会長とよく相談して行ってください。食事に気をつけ、栄養を考えてください。孝元氏の報告に、生活が思いどおりにいかず、その影響がお母様にまでいっているという言葉があり、一方で心配していますが、節約すると報告にあったので、感謝しています。天が責任をもてるように皆が精誠を尽くし、ただ忠孝の道理を立ててください。こちらはみな元気でいます。そして、今回は、アメリカ食口の物心両面での苦労が大きいと思います。将来、天が助けてくれることを祈るばかりです。送ってあげた旅行日程をまた送りますから、受け取って安静にしてください。保護の中、無事に帰国できることを待ち望んでいます。子供たちを連れて、苦労が多いと思います。
四十数ヵ国を歴訪するつもりです。出発したあと、連絡先をお伝えします。韓国の現在の事情をよく知っている私としては、そのために祈るばかりです。今の旅も、将来の韓国の道をならすためのものだと思いながら、民族の前に申し訳なく思う気持ちをなだめようと思います。旱魃がひどいということで心配です。そのような時ほど、統一の役軍(担い手)はさらに発奮しなければなりませんね。暑い夏の季節、苦労させることを申し訳なく思います。四方を見ながら、手本となる立場に立とうとしていることに同情します。責任を負った者たちの重大さを、さらに切実に感じると思います。いつも平安を祈りながら、忙しい中での乱筆、失礼します。十月中旬にはまた会えることを願いながら、安らかで健やかに過ごせるよう、祈るばかりです。それでは、元気でいてください。一九六五年六月三十日、ワシントンDCにて。
14 孝進オンマ、今ちょうど、スペインの首都マドリードの飛行場から、イギリスに向かって出発しました。十四日の午後八時十五分です。太陽がスペインの山野を照らしています。もう少ししたら、たそがれが訪れるでしょう。農業国ですが、それほど農地が肥沃には見えません。山にも木が多くありません。飛行機からは、遠くに白みがかった霧がかかり、天と地が薄らいで見えます。二時間だけ飛べば、西欧文明の中心国家であるイギリスの首都ロンドンに到着し、金永雲氏に会う予定ですが、そこの様子はどうなのか気にしながら飛んでいます。二ヵ月余りで何人伝道したのか、新しい食口たちと一緒に迎えに来ているだろうと思います。
太陽が西の雲の中に隠れ始め、山野には暗闇が訪れます。ドーバー海峡を飛び越えていくこの道が、み旨の道を高める道になることを願っています。イギリスまで行けば、本当に故郷に帰る気分になると思います。きょうは、スペインで観光バスに乗り、宮殿と博物館を見学しました。王宮は二十六年間かけて建築したもので、ヨーロッパ文明を総合した芸術品が驚くほど積まれていました。博物館を見ても、三千点以上あるという絵の中に、有名な傑作がたくさんありました!今、飛行機は雲の中に包まれていきます。日の光は、空を紅色に染めながら、横の窓にペン先の影をまだらに映しています。客室乗務員が促す夕食のため、仕方なくペンを置かなければならないようです。
故郷の便りを、イギリスに行けば受け取れると期待しながら飛んでいます。食口全体が無事で、お母様の体の健康と子供たちも無事であることを思いつつ、遠く心の中で慕わしさがつのります。全体の活動状況を知りたいですし、また、会える日が待ち遠しいです。私たち一行はみな無事なので、安心してください。近くにいる食口たちにも、よろしく伝えてください。白い雲に乗り上げてはまた通り過ぎ、山野を広い庭園にして飛ぶ騷音とともに、展望の一景を思い出としながら、ひたすら通り過ぎていきます。日の光も黒い雲に遮られ、明るかった機内も少し暗くなります。それではここまでにします。元気でいてください。一九六五年七月十四日、イギリス行きの機上にて。
15 孝進オンマ、今ドイツに来て、数日がたちました。ドイツは国民性が勤勉な国民であることを、戦後の復興の様子を見てさらに感じました。全国的に六〇パーセントも破壊されて廃墟になった土地を、新しい国土に造り変えたのを見ると、韓国に対する私たちの立場を改めて思い、今後の私たちの責任が大きいことを切実に感じます。
ドイツに来て、本部の便りを待っていたのですが、何の知らせもないので気になっています。きょうは八月四日です。お母様のことを思い、追憶の日であることを、遠く離れて記憶しながら、昨年のこの時(一九六四年八月四日、惠進様の聖和)のためにお祈りします。もう八月ですから、臨月に入り、どれほど心配しているかと思いつつ、すべての面において委ね、やり抜いてくださるようお願いします。今、ちょうど外出の準備をして応接室に来てみると、新たに変更された巡回旅程を韓国に送るというので、急いで書いています。
新しい赤ん坊の名前ですが、男の子なら「興」の字、女の子なら「仁」の字にしてくれればと思います。皆が祈ってくださったお陰で、私たち一行は無事に過ごしています。あすはドイツを離れます。十八日頃、イタリアに到着する予定です。そちらに手紙を送ってください。その頃には、出産が終わっているでしょう。皆によろしく伝え、体に気をつけてください。しきりに心が故国を訪ねていきます。子供たちは元気ですか。それから、協会長に相談して、私がアメリカに出発する時に持っていったのと同じハンカチを二十枚用意し、同じはんこを押しておいてください。お土産を買っていくのは、重くて不可能だからです。帰ってから、お土産の代わりにするようにしてください。皆の平安と健康を願いながら、これで終わります。旅行スケジュールで、イタリアの宿所が変更してあります。一九六五年八月四日、ドイツにて。
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